ジャーナル Journal

AIR475祭「一場春夢」を空からみよう!を開催しました

Dec 8, 2015
AIR475祭「一場春夢」を空からみよう!を開催しました

県内のまちづくり等の団体が主体となり、国内外から招いたアーティストと協働してプロジェクトを実施する「鳥取藝住祭(とっとりげいじゅうさい)」。今年は10団体が参加し、「藝住=藝術とともに住まう」という状態が鳥取県の日常となることを目指してきました。その一環として米子市で展開したアートプロジェクトが「AIR475(エアーヨナゴ)2015」です。

AIR475は、米子市在住・出身の建築の専門家らにより結成した「米子建築塾」が企画・運営。今年度はカナダ在住のキュレーター、原万希子さんと、韓国出身カナダ在住アーティスト、カーン・リー(Khan Lee)さんとともに、弓ヶ浜半島の休耕地にて大規模なランドアート(※)を制作しました。

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素材となったのは秋に鮮やかな黄色の花を咲かせる外来植物「セイタカアワダチソウ」。農地を荒廃させるとして悪いイメージが付きまといますが、日本へは明治期に鑑賞用として輸入された経緯があり、原産地の北米では「金のむち」と呼ばれ愛されています。

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カーンさんは、このセイタカアワダチソウが原産地から遠く離れた地で繁茂する姿に着目。韓国出身ながらカナダに移住しアーティストとして活躍の場を得てきた自身の境遇とも重なって見えたようです。

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今回カーンさんが目的としたのは、このセイタカワダチソウのマイナスのイメージと多角的に格闘すること。ランドアートの制作を中心に据えながら、セイタカアワダチソウと休耕地の問題について植物生態学者らを交えて考えるシンポジウムや、草木染の染料となることを知るためのTシャツ染めワークショップなどもプロジェクトの一環としました。

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制作期間が限られるなか、強風の日も雨の日も毎日現場へ出向きセイタカアワダチソウの繁茂する農地と向き合ったカーンさん。当初は1か所での制作予定でしたが、セイタカアワダチソウの開花のタイミングやそれぞれの農地の歴史や成り立ちなどを考慮して2か所で制作を行うことに。

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キュレーターの原さんが率先して制作に携わり、米子建築塾メンバーも各自の仕事の合間を縫い1時間でも半日でもと交代で制作に加わりました。

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日を追うごとにカーンさんの考えに賛同し制作に携わる人も増えていきました。地域の方々や行政関係者、米子高専の教員や学生、AIR475に興味を持ったボランティアなど、さまざまなバックグラウンドの方々が現場に足を運んでくださり、それぞれの立場からランドアートの制作に力を貸してくださいました。

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11月21日(土)日没ぎりぎりまで調整し、ランドアートは完成に至りました。現場では脚立に上って眺めてみても全貌は分かりません。翌日のAIR475祭りに期待が膨らみます。

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11月22日(日)、ランドアート作品のお披露目と完成を祝う「AIR475祭/一場春夢(いちじょうしゅんむ)を空からみよう」を実施。晴天に恵まれ多くの来場者を迎えることが出来ました。

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祭り会場は米子市大崎地区。1か所目のランドアート作品を眺めることのできる足場が目印となりました。

一方、カーンさんと原さんは別の場所で飛行機に乗り込み会場の上空へ向かいます。その上空から見える様子をスカイプで中継しながら会場のスクリーンに投影しました。

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開始から間もなくカーンさんと原さんを乗せた飛行機が上空に現れると、会場はわっ!と歓喜に包まれました。

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会場上空を飛行機が2回旋回し、いよいよ「一場春夢」を形づくったもう1か所の農地へ。

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祭りの会場では、参加者がじっと上空からの映像を見つめます。そして見えました…「一場春夢」の文字!

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Khan Lee, 一場春夢, 2015. (AIR475 Project in Yonago, Japan)  /  撮影:株式会社SWIFT

 

「一場春夢」とは、人生の栄華がきわめてはかなく消えてしまうことをたとえて詠んだ唐代の詩の一節です。人の人生もアートも一瞬の夢のようなもの。しかし皆その一瞬を力の限り生きています。総勢50名以上の協力のもと約2週間をかけてたどり着いた「一場春夢」。完成までのたくさんの苦労も、この姿を皆で見るという一瞬の感動のためにあったと思えるほど、胸を熱くした瞬間でした。

 

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会場に戻ってきたカーンさんは待ち受けていたテレビのインタビューに次のように答えました。

『作品は昨日完成したばかりでまだ実感がないのですが、本当に夢のような心地でいます。多くの地元の方と一緒に制作に取り組み、そしてその完成の喜びを共有できたことは本当に嬉しく思います。「一場春夢」という言葉にははかなさだけでなく、一瞬を一瞬を夢を抱いて生きるという意味も含まれています。この言葉通り夢を持ちながら今の一瞬を大切に生きるというメッセージを伝えたいと思います。私は米子を去りますが、この作品が時を経てどのように変化していくのかをぜひ見守ってほしいです』

キュレーターの原さんも以下のようにコメントしました。

『人間にとって非常に重要な農業というテーマに切り込んだ作品となりました。私たちの生活が変わり食べ物のあり方も大きく変わってきた中で、米子の人たちとともにそうした大きなテーマに向き合えたことは大変素晴らしかったと思います』

優れた藝術作品やアーティストには社会や地域の課題へ鮮やかに切り込む力があります。今回のプロジェクトを通じた出会いや協働が、地域を拓く種や芽となり太く根付いていくことを願います。

※屋外で自然物を用い大規模な制作プロセスを経た美術作品。

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